静岡県の魅力 ~経済・産業に視点をおいて~
(2)中部地域
中部地域は、静岡市、島田市、焼津市、藤枝市、牧之原市、吉田町、川根本町の5市2町で構成されています。
西は牧之原台地を境に、北は長野、山梨県、東は富士川に接している文字通り静岡県の中部を占めています。気候は、静岡県の中でも温暖で西部地域に特有な遠州の空っ風といわれるような風も吹かず、海・山の幸も豊富です。このこともあり、気風は県内の中でも最ものんびり、おっとりしていると言われています。
まず、中部地域は静岡市を中核都市として発展してきました。地場産業の集積に加え、県庁所在地として行政機能を果たし、情報・産業・金融・サービス機能が集積されていることが特徴です。また、市町ごとに特徴ある産業が育っていることも特徴の1つとしてあげられます。
静岡市は、旧静岡市(現、葵区、駿河区)の家具、サンダル、プラモデル、ひな具・雛人形、製茶などの生活に係る地場産業があげられ、全国的にも評価される産地を形成しています。
旧清水市(現、清水区)は、全国トップ水準の缶詰を中心とした食品工業や木材、石油、アルミなど清水港を擁した臨海型工業に加え、電気機械、一般機械の生産が上位にあります。さらに由比・蒲原地区では桜えび、しらす漁を中心に食料品分野に特徴があります。
島田市は、第1にパルプ・紙があげられます。また牧之原台地を抱え全国ブランドである川根茶をはじめとする茶産業も主要産業として地域経済を支えています。
焼津市は、まぐろ、かつおなどの遠洋漁業の水揚げ港として全国有数の実績を誇り、冷凍まぐろ・かつお類の水揚量は全国一を維持しています。また、関連産業である水産加工産業も集積が厚くなっています。さらに、最近では食料品に次いで、化学工業、飲料、輸送機械が上位を占めるようになっています。
藤枝市は、南側に大井川が流れている立地環境から、水資源を活用する医薬品を中心とした化学工業や電気機械、プラスチック製品が生産額の上位を占めています。
牧之原市は、牧之原台地における茶栽培をはじめとする農業、吉田町は食料品、化学工業の第二次産業(工業)に加え、農業(米、レタス)や水産業(うなぎ、しらす)が盛んです。川根本町は、茶が基幹産業となっています。
このように中部地域は各市町により中心となる産業が異なっていますが、西部地域の加工組立型産業ではなく、生活関連型産業を中核として発展したと言うことができます。
さらに現在は、健康志向の高まりという時代のニーズに応えるため、県中部に集結したライフサイエンス系の大学・研究機関と、日本有数の食品関連産業群が協働し、食に視点をおき健康長寿社会に貢献する新産業創出プロジェクト、フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトが立ち上がっています。平成27年度から第2次戦略計画がはじまっています。
加えて、駿河湾等の特徴ある環境や、そこに⽣息する多様な海洋⽣物など魅⼒ある海洋資源を活⽤し、マリンバイ
オテクノロジーを核としたイノベーションを促進することにより、静岡県における多彩な産業の振興と創出を実現させるマリンバイオイノベーションプロジェクト(MaOIプロジェクト)、茶の新たなブランド価値の創造に向けチャ
オープンイノベーション(ChaOIプロジェクト)がスタートしています。
ChaOIプロジェクトの研究開発拠点であるChaOI-PARC(パーク)では、国内外の茶遺伝資源のデータベース化、新品種の普及促進、病害虫の発生予測技術の構築などの研究を強化していく計画です。